僕がLucy Roseの存在を知ったのは、Bombay Bicycle Clubを知ったときとほぼ同タイミングでした。

2012年にイギリスのReading Festival(レディング・フェスティバル)へ行ったのですが、そのフェスをリサーチしている時にBombayを知り、Feat参加しているLucyを知ったという流れですね。

Bombayの話はいつかするとして、ここでは一曲だけ。Lights Out, Words Goneを置いておきます。サビ部分でLucyの素敵な声を堪能できるはず。

さてそんなLucy。名前からして最高に格好良い。LucyでRose。痺れる。今回レビューするのは、2012年発の1st“Like I Used To”

プロデューサーはFlorence + the MachineやEd Sheeranらの楽曲も手掛けたCharlie Hugall。

素朴なフォーク・ミュージックでありながら、その奥底にはメラメラな野心を感じる好盤。

等身大のアルバム“Like I Used To”

ありきたりながら、記事タイトルにも「等身大のアルバム」と表記しました。マジでありきたりなんですけど、風呂入ってるときにピンと来たため、そうなってしまいました。

そうなったのにもちゃんと理由があって。

Lucyの音楽キャリアは、オーケストラのドラムから始まったんですね。そこからピアノで作曲を始め、16歳でアコースティック・ギターを手に入れて…と、THE素朴キットを揃えていったんですね。

それを踏まえて1曲目“Red Face”。これ、完全にドラム・ソングですよね。PVを観れば一目瞭然。

初めて聴いたときは、「なんでこの曲がアルバムに収録されているんだろう?全体的にロックテイストも入り交じるし、『フォーク・アルバム』ではないのは伝わるけど、分からない…。」なんて思っていました。

が、しかし、あるとき気が付くわけです。

「あ、これつまり今までのキャリアを詰め込んだアルバムってことか。」と。

このアルバムではピアノの音はそこまで多くはありません。あくまでメインはアコギのフォークなんですが、彼女がこれまでやってきたことがキッチリと詰め込まれたアルバムになっているんですね。

それを理解してからは、ロック寄りな楽曲のアプローチにも合点がいき、フォーク・ソングもそれらに負けないパワーを内在していることを実感し。独特なバランスを持ったアルバムだなと捉えるようになりました。

フィジカル的な意味でも、今作は自宅ですべて収録したということで、少ない面子で完成させたアルバムっていう点でも等身大感が◯。

ライトなポップソングの持つマジック

Lucyの楽曲って、基本的にはポップ・ソングなんですよ。

Aメロ→Bメロ→サビ→Cメロ…みたいな流れをある程度忠実に守っているし、サビまで到達するのが圧倒的に早い。“Lines”や“Place”などは40〜50秒の段階でサビに突入しています。

そんなわけで、とにかく取っ掛かりやすいんです。迫力あるバンド・サウンドも素朴なフォーク・ソングも、スッと入ってくる耳心地の良さが抜群。

僕はポップ・ソングが大好きな人間なので、こういう“構成的ライトさ”っていうのにはストレートにヤラれやすいです。

Shiverのバランス感覚が◯

アコギとバンドの組み合わせ方で一番好きなのは“Shiver”。

最初アコギと声だけで入り、少しずつ楽器が加えられていって盛り上がり、最終的にまたアコギと声だけになるみたいな流れね。こういうのよ、落ち着くフォークソングっていうのは。そこまでフォーク聴かないけど←

ピアノもいい感じに入るし、多分本人もこれはお気に入りの一曲のはず。

5〜7曲までの流れがとにかく素晴らしい

僕の中では、アルバムの流れは1〜4、5〜8、9〜11っていう感じで分けて聴いてるんですけど。この中間の、5〜7までの流れが本当に素晴らしい。

一曲前の“Shiver”で落ち着いた感じを続く“Night Bus”で少し明るくさせ、“Watch Over”でBombayよろしくなバンドサウンドを聴かせ(BombayメンバーのJack Steadman参加)、最終的に純粋にポップな“Bikes”でキメる。

全体的にトーンは落ち着きながら、絶妙な明るさで魅了してくるンす…。「こんなんズルいっすわ…。」みたいな気持ちになるため、ここの流れはとにかく最高。

さらに“Bikes”、PVがめちゃくちゃ良い。これはぜひとも、すぐにでも観て欲しい。

終盤の“Don’t You Worry”〜“Be Alright”のフォーク攻めの流れも素敵。何度でも聴きたくなる。

結局はイギリスがルーツのフォークっ娘

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Lucyはカナダのアーティストが好きなのか、Neil YoungやJoni Mitchellらに影響を受けているとのこと。しかし僕は両者ともほとんど聴いたことがない。最近Joni Mitchell聴いたら良すぎてぶっ飛んだけど。

だけど、彼女はイギリスで生まれ育ったわけです。だからやっぱりイギリスの音楽をそこかしこに感じるんですね。リズムの置き方とか身近さとか、アメリカやカナダのような“大陸系アーティスト”にはない「軽やかさ」が特長なんじゃないかなと。

一聴しただけでは分からない(ポップなのに)

以前からファンだったけど、今回改めて聴き直して思ったのは、「一聴しただけでは表面しか分からないな」ということ。

既に上述したように、Lucyのルーツを知ることが重要ですね。その上で、腰を据えて聴き込まないと「今作がどういう作品なのか」が理解できないだろうな、と思うわけです。

あとはまあまあしっかり出てるバンド・サウンドが、このアルバムを迷わせる原因になっているんじゃないかなーと。

これさえ乗り越えれば、アルバムの意図が少しずつ見えてくると思います。一聴して「良いアルバム!」っていうのは分かるかと思いますが、より深く知るためにも、ぜひ気長に付き合っていただきたく思います。

個人的ハイライト:Night Bus

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初めてアルバムを聴いたときからここ最近の聴き込み期まで、ずっと個人的一位だったのは“Night Bus”でした。

音も歌詞も雰囲気も、何もかもが「おれ今…夜中のバスに乗ってる気分だわ…」にさせられるんです。「どんだけ困っても迷っても誰かはいるし、私たちは一人じゃないよ」、みたいな歌なんですけど。とにかく最高なんで、“Bikes”とこれだけでも聴いてください。

おわりに

“Like I Used To”は、Lucyの歩んできた音楽人生を詰め込んだ、小品集のような魅力あふれるアルバムでした。

アルバムとしての完成度はそうでもないかな?と思うのですが、全体のテイスト・トーンは調和が取れているし、それもまたフォーク的かな、ということで。

(下に楽曲評価あります。)

“Lucy Rose – Like I Used To”: 73/100

楽曲評価(★5点満点)

  1. Red Face – ★★★
  2. Middle of the Bed – ★★★★
  3. Lines – ★★★☆
  4. Shiver – ★★★★
  5. Night Bus – ★★★★☆
  6. Watch Over – ★★★☆
  7. Bikes – ★★★★
  8. Place – ★★☆
  9. Don”t You Worry – ★★★☆
  10. First – ★★★★
  11. Be Alright – ★★★★☆