Brandon Flowers率いるThe Killers。LA出身、4人組バンドの3作目“Day & Age”。

2017年は「知らなかった音楽を漁る」というテーマを掲げているため、なかなか新譜に手が出ないでいます…。その理由がこの記事、このバンドThe Killersというわけなのですが。

The Killersは2017年1月現在4枚のアルバムをリリースしていて、僕個人としては3作目にあたる“Day & Age”が一番好きだったので、レビューすることにしました。

インディーからメジャーへ。80年代Synthpopを消化し、グラマラスなUSロックへ。

The Killers – Day & Ageの変化・魅力

Day & Ageでの変化

これまで彼らは「インディー感」を持ったバンドだったように思うのですが、今作で一気にスタジアム映えするサウンドへと変貌。圧倒的メジャー感。U2やQueenなどを彷彿とさせるあたり、UK好きな面は相変わらず。

2nd“Sam’s Town”では、過去から現在まで第一線で活躍しているプロデューサーFloodAlan Moulderを起用していたのですが、今作“Day & Age”ではそんな彼らより一回り以上若いStuart Priceを起用。

若さとUK出身であること、さらにMadonnaのアルバム“Confessions on a Dance Floor”をヒットさせたという経歴あたりからの選択ですかね…。

アルバムDay & Ageの魅力

このアルバムの魅力は「過激な実験性」にあるんじゃないかな、と思う。

Rockをベースにしつつ、よりPopで多岐に渡るジャンルを横断し、さらに時代性までまとめてパッケージングしておきながら、そのどれもが圧倒的に高いクオリティで仕上がっている。

The Killersの良いところは、それが「時代を代表するアルバム」ではなく「The Killersの成長を象徴するアルバム」と感じられるところ。スタジアム・ロックになっておきながら、どこか身近さを感じるんですよね。

出だしのつかみが完璧な時点でThe Killers史上最高の成功

The Killersは、1st/2ndで「出だしの曲でつまづく」という同じ路線の失敗をしている。

1st“Hot Fuss”では、「デビュー・アルバムの1曲目にこれ選ぶ?マジ??」なものをチョイスしていて、2nd“Sam’s Town”では、「1曲目良いやん!…2曲目にインスト的なやつ挟むん??」と、せっかくの初速を殺してしまいます。

その点3rd“Day & Age”は1曲目“Losing Touch”で大人キラーズを演出しつつ、続く“Human”、“Spaceman”でシンセを巧みに活用した上質なRockサウンドへと進んでいく。もうね、この時点で他のアルバムは敵いません。The Killersはついにクラウチング・スタートをマスターしたのです。

ダサかっこよさの極みLA

The Killersの魅力として、僕は「ダサかっこよさ」があると信じていて。3rdになってもコレは健在で、3曲目の“Spaceman”にて爆発する。

一聴して分かる「なんだこのサビ前のメロディとサビ中のドラミングは…!」具合。しかしただダサいだけで終わらないのが「ダサかっこよさ」の魅力。2:45辺りからの展開には目を見張るものがあるし、全体通してグラマラス・ロックに磨きがかかっている。

LA流のきらびやかさとUKの皮肉ったビート感の融合により、「個人的ダサかっこ良いバンド」代表Kasabianにも引けを取らないダサかっこよさ。ダサかっこよさの極みLAこそがThe Killersなのです。

良く言えば「変化に富んでる」悪く言えば「とっ散らかってる」

このアルバムは「過激な実験性」によって成り立っていると言いましたが、アルバム全体通して聴くとそれがよく分かります。

特に“Joy Ride”と“I Can’t Stay”の2曲が異色なテイストで、前者はFunk Pop、後者はトロピカルなSurfミュージック。この2曲が“Day & Age”を“Day & Age”たらしめているな、とも感じるわけです。

聴きようによってはとっ散らかった印象を受けるかもしれませんが、これまでのアルバムには今作ほどのレンジはなかったので、この変化に関してはかなり寛容に受け入れられるんじゃないかな、とも思います。全体のテイストは統一されていますしね。

今作のハイライトは“A Dustland Fairytale”

僕が今作で一番好きなのは5曲目の“A Dustland Fairytale”です。

The Killersといえばバラード曲をバラード曲で完結できないことで有名で、この曲でも1分を超えたあたりからバラードであることを拒みます。

出だしの感じを忘れてしまったのか、終盤になればなるほど盛り上がりを見せ、特大ホームラン級の大サビへと一気に運ばれていきます…。The Killersのそういう落ち着かないところが僕はとても好きなんですね。

最初とラストの曲が最高に良い

そして最後の曲“Goodnight, Travel Well”。ラストの曲を飾るにふさわしい世界観。完全に宇宙いってます。

Mobyのアルバム“Innocents”の中にもありそうな楽曲で、ついにアンビエントまで味方につけてしまったか…と。最初と最後の楽曲が素晴らしいアルバムはつい何度も聴いてしまうし、自然と評価も高まります。

The Killersのアルバム曲史上最も長尺な楽曲ですが、構成が完璧なので一瞬で終わってしまいます。素晴らしい。

おわりに

2nd“Sam’s Town”では、楽曲構成がどれも未完成のように感じられたのですが、今作“Day & Age”はどの曲もかなり練られていて、収まるところに収まっているような印象。

「実験性」と「完成度」という、相反するように見える2つをどちらも高い場所で保って作られた今作は、80年代のUKとアメリカン・ロックの融合の到達点のようにも感じられ…。満足しかありません。

“The Killers – Day & Age”: 80/100

楽曲評価(★5満点)

  1. Losing Touch – ★★★★☆
  2. Human – ★★★☆
  3. Spaceman – ★★★★
  4. Joy Ride – ★★★
  5. A Dustland Fairytale – ★★★★★
  6. This Is Your Life – ★★★
  7. I Can’t Stay – ★★★☆
  8. Neon Tiger – ★★
  9. The World We Live In – ★★★★
  10. Goodnight, Travel Well – ★★★★☆