映画「ラ・ラ・ランドが公開目前ということで、同監督の映画「セッションを観ました。監督はデミアン・チャゼルっていう人で、監督だけでなく脚本も担当しております(両作品とも)。

1985年生まれで、現時点(2017年2月7日)で未だ32歳という圧倒的に若い監督ながら、「セッション」の時点で大物感溢れる作品を作っちゃってます…。批評家からの評価もかなり高いようですし、とにかく今からでも注目していくべき監督です。

僕も気になってたし、今の時期に観れたのは何だかんだでとても良いタイミングだったのではないかなと。それではレビューです(ネタバレに関してはあまり気にしない方針で書いています)。

あらすじと基本的な情報

若手の学生ジャズドラマーのアンドリュー・ニーマンが主人公なんですけど、アメリカでも有名な音楽学校(という設定の)シェイファー音楽学校に通っているんですね。

そんな若い才能が、シェイファー音楽学校の中でも有名な指揮者であるテレンス・フィッシャーに見いだされるわけです。そっからドンドコ狂ったようにドラムを叩きまくり、日常生活や自我が大きく変化していく…。という感じのストーリーです。

ジャケからして「激しい!」というのが伝わると思いますが、「まさに。」という感じで。鑑賞前もそのせいで先送りにしていましたし、予想通り鑑賞後はものすごい疲労感を感じました。熱量とバイブスが異常に高い映画です。

マイルズ・テラーの役作り

主人公アンドリューを演じたマイルズ・テラーは10年以上のドラム歴を持ち、その上でさらに今回の映画で実際に叩けるようになるために特別レッスンを受けたとか。ドラム叩きながら豆が潰れて血が滴る、みたいな演出がありましたが、あれはマジの出血だったとか…。

いやー、役作りっていうのは本当これくらいのレベルのことを言いますよね…。えげつない。でも真似したくなるのはJ.K.シモンズ演じるテレンスの方←

監督本人もジャズドラム出身の人らしく、その影響が色濃く表れていますよね。ていうかこの監督が作る映画、今のところ3作全部「音楽」に関わるものばかり。新たな音楽系監督の誕生ってことですかね。素晴らしい。

「セッション」ここが魅力!

映画全体の雰囲気・テイストは「ソーシャル・ネットワークっぽくて、泥臭いインテリ感がとても良かった。他にも、以下の3つが見どころかなと。

  1. 手に汗握る2人の“セッション”
  2. 家族との確執や恋愛方面の描写
  3. 人物としての変化が秀逸

手に汗握る2人の“セッション”

最初から最後まで、一貫してアンドリューとテレンスの“セッション”が中心に描かれる映画なんですけど、演奏の主導権がどちらにあるのか分からなくなる辺りから2人の一挙手一投足に目が離せなくなります。

疲れる映画っていうのは自然と手を握りしめてしまうものですが、「セッション」でも延々としかめっ面で手に汗握ってました。この没入感は久しぶりでしたね…。

家族との確執や恋愛方面の描写

別にストーリーに盛り込まなくても問題なさそうなパートと思われるかもしれませんが、家族や恋人との日常生活をしっかりと盛り込むことで、演奏に向ける異常な執着が強調されていたように思います。

ということは、日常描写なしにあそこまでの緊張感は生まれてなかったということです。それぞれのパートがあってこそ、あそこまで音楽にのめり込むことになったのだな、と。

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あと彼女役のメリッサ・ブノワが超かわいい。ドラマ「スーパーガールの主演で有名なあの子ですわな…。最高…。

人物としての変化が秀逸

最初は気弱で周りに合わせるタイプのアンドリュー君だったのですが、テレンスとのセッションを重ねていくにつれて激情型の人間に変貌していきます。終盤はもはやアンドリューさん。

女の子に自分から声をかけられるようになったり演奏に対する意見を出せるようになったり(口がめちゃくちゃ悪くなったり)と、変わり様がものすごい。かつ自然。

人は環境次第だなっていう教訓ともとれるような変貌ぶりで、怖いと同時にカッコよさが溢れ出します。

「セッション」ここがイマイチ…

ストーリーが丁寧すぎた

あらゆる映画に言えることなので、あまり深掘りをするつもりはありませんが、「セッション」も例に漏れずストーリーが丁寧すぎます。

あからさまに「今からこんな展開になっから」と予告してからストーリーが進んでいくのが少なくとも3回はあったので、ちょっと先が読めすぎた感はありました。それでもこの映画の熱量を削ぐようなものではありませんが。

音楽映画だけどサスペンス的な雰囲気を兼ね備えた作品だけに、ミステリアスな要素は残しておいても良かったんじゃないかな?ということで。

おわりに

とりあえず観終わってからのバイブスの高まりがヤバいです。僕は昼間に観たのですが、夜観たら絶対に眠れないくらい熱が入った映画です。

音楽、Jazzに興味がなくても、この偏執具合は全分野共通のものがあるんじゃないでしょうか。グッタリと疲れてみたい方、何だか最近やる気が出ないなという方はぜひ観ましょう。

映画「ラ・ラ・ランド」とは間違いなくテイストが違うけど、きっと同じくらいの傑作であることは間違いありません(ラ・ラ・ランド予告ホームラン)。

「セッション」:86/100